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「素材とは究極のもの」

上越市板倉区の農家上野千一氏

「両親と2人の兄は米をつくってるんですよ〜。」と明るく笑顔で始まったインタビュー。
最初から園芸作物を出荷して生業にしていく野望を持ち、人生は過去も未来も「一貫してぶれません」と自信満々に語るのは上野千一さん((30)取材当時)。
頸城平野の中で最も海寄りの広大な土地を舞台にしている露地野菜専門の若手だ。
5年前に五月菜からはじめた自身の事業で最初にわかった事はただ一つ「この仕事では食べて行けない」これだけだという。
「ではなぜ続けるのか?」と聞くと、「では誰なら続けられますか?」と直ぐに切り返すようなやり取りで繰り返すキャッチボール。終始屈託のない笑顔でいながら言葉では真剣に物事を捉えている人物像は生粋の創業経営者だ。意識は常に上越農業の未来にある。
誰も専業で手出ししないこの分野は次世代に夢がないと途絶えてしまう。だから自分にしかできない不利を有利にする伝え方が未来の農業を繋ぐと考える。常に自身と意気込みが根強くあるというから驚きだ。

彼が毎年結果を細部まで分析して食卓の定番野菜を大量に生産し続けるには理由がある。作物は失敗を予測できても曖昧さは未熟な判断になる。ただ回避するくらいならいっそ正面からぶつかって原因究明し、納得してから次を経験したほうが自分の為であり未来の担い手の為になる。だからやる。
農業者は作っていく事のプロにならなければ値打ちはない。だから人生を掛ける価値がある。厳しさを終始明るく話す彼の後ろには、この「究極な姿勢」をリスペクトしている若手が毎年1人ずつ増えている。そう、野菜だけ育てている訳じゃない。「憧れに勝る教育はない」と、懐かしい言葉が浮かんだ。